都市計画演習

【2021年度1班】車に日和ってる奴いる?-自転車にやさしい道づくり

班員:山縣 力也,田村 駿介,金元 陽平,佐藤 柊哉,稲葉 翔太,鎌田 沙織,刘 书宁(指導教員:甲斐田 直子,TA:川又 豪士)

課題

背景
筑波大生の主な交通手段は自転車であり、平成29年度学生生活実態調査では自転車を通学時に利用する筑波大生の割合は雨天時でも67.6%、通常時には86.6%にまで達しているが、交通ルールで定められた「原則車道左側走行」を自転車利用者が守っていない光景が見受けられる。国土交通省によると道路工事等のやむを得ない場合のみ自転車の歩道走行が認められており、やむを得ないという言葉の解釈が曖昧なせいで安易に歩道走行がなされている一方、現在の道路状況が車道走行に適していないことも問題である。令和3年10月18日に行われたつくば市役所の森氏講演会の質疑応答では市内の主要道路を優先して自転車通行帯の整備を進めているという回答を頂いたものの、自転車通行帯の整備には時間と費用が掛かるため早急な設置は難しい。そこで、自動車により認知させることで自転車の安全走行につなげようと考え、演習当初は自転車に車道走行を促す方法を考えていた。しかし車道走行を強いることにより自転車の利便性が失われることや本演習が時間的に制約されていることを考慮し、我々は自転車通行帯に着目した。

目的
我々は以下のように目的を設定した。
大目標:自転車の安全走行
下位目標:自転車利用者の自転車通行帯の利用促進

データ

予備調査
現状を把握するために予備調査としてアンケート調査と実地調査をおこなった。アンケート調査では性別や自転車利用頻度、車道左側走行が最適だと分かる写真を提示したうえで車道・歩道、左側・右側のどこを走るか、歩道走行する際に重要視する項目とその重要度に加えて自動車運転免許の有無や自動車運転頻度についても調査した。

実地調査では筑波大学周辺道路において歩道と車道どちらを走っているか、そしてその時の道路状況はどうであったかを記録した。道路状況とは歩行者や自動車、路上駐車、対向自転車の有無である。調査場所は自転車通行帯のある所、歩道と車道が明確に分かれている所、歩道の整備状況が悪い所、交通量が多い所というように道路状況が偏らないように選定した。

アンケート調査概要
目的:自転車走行に関する意識・知識の調査
期間:2021年10月28日~31日
対象:社工を中心とする筑波大生232名
方法:Google Formによるアンケート

実地調査概要
目的:自転車利用の現状把握
期間:2021年10月26日~11月1日
時間:平日・休日の8時~9時、13時~14時、18時~19時
場所:➀筑波学院大学前 ②松見通り ➂セブンイレブン春日4丁目店前 ④セブンイレブン天久保4丁目店前
調査件数:654件(➀211件 ②174件 ③152件 ④117件)

本調査
自転車の安全走行のための最終提案に向けて本調査として聞き取り調査とアンケート調査をおこなった。聞き取り調査では自転車通行帯がある場所で自転車通行帯あるいは歩道を走行した理由を自転車利用者に聞いた。アンケート調査では自転車通行帯の利用頻度や我々が提案する方策をおこなった際に自動車に対する怖さや申し訳なさがどの程度軽減するか、あるいは自転車に対して自動車はそれらを邪魔であると感じるか、自転車をより意識するかについて調査した。

聞き取り調査概要
目的:走行ルート選択要因の調査
期間:2021年11月23日~26日
時間:8時~9時、11時~12時
場所:➀筑波学院大学前 ②Tフィールド前
回答件数:17件(➀8件 ②9件)

アンケート調査概要
目的:提案した方策の効果の検証
期間:2021年12月10日~13日
対象:社工を中心とする筑波大生170名
方法:Google Formによるアンケート

分析

予備調査分析
アンケート調査の分析では、走行ルート選択とそのほかの質問項目の回答との間にある関係をクロス集計した。また実地調査の分析では、走行ルート選択とその時の道路状況との間の関係をロジスティック回帰分析で探った。

本調査分析
アンケート調査の分析では、各方策により自転車あるいは自動車目線で心理面にどの程度の変化があるかをグラフやポジショニング図にまとめて分析した。

結果

予備調査結果
アンケート調査では自転車が原則車道左側を走行しなければならないことを知っていた回答者は97%いたのに対し走行ルート選択場面において車道左側を選択した回答者は71%にとどまり、実地調査では実際に車道左側を走行していた自転車はおよそ50%であった。
また、筑波学院大学前の自転車通行帯の利用率は5割程度にとどまった。

予備調査考察
予備調査全体より知識、意識、行動の順番で交通ルール上の正しい判断をする人の割合が減っていくことが分かった。また、アンケート調査では歩道走行してしまう原因として考えられる道路状況を列挙して尋ねたが、実地調査で記録した道路状況をもとにロジスティック回帰分析をおこなった結果、道路の利用状況は走行ルート選択に影響を与えないことが分かった。(回帰分析表)そこで真の原因を探るためにアンケート調査の自由記述欄を調べた結果、自転車利用者は車道走行する際自動車に対して怖さや邪魔になっていないかという申し訳なさを感じていることが分かったため、それらが真の要因ではないかと仮定して本調査をおこなった。

本調査結果
聞き取り調査では歩道走行していた11人中7人が車道走行に関して危険や申し訳なさについて言及していた。アンケート調査では、我々が提案した方策のうち自動車に対する怖さと申し訳なさを軽減し、かつ自動車に邪魔だと思われないという観点から、自転車通行帯と車道の境界に柵とポールを設置することと、自転車通行帯と車道の境界となる白線を太くすることが効果的であることが分かった。

本調査考察
聞き取り調査の結果から、予備調査後に立てた「自動車への怖さや申し訳なさが自転車の車道走行を妨げる要因ではないか」という仮定が正しいと分かったためアンケート調査に移った。そのアンケートの分析で効果的だと分かった2つの方策の費用は以下の通りである。

・ポールの設置   →  120万円
・柵の設置     →   60万円
・白線を引く    →   3万円

これより白線を太くするのにかかる費用はポールを設置する費用の1/40、柵を設置する費用の1/20である。ここで先ほどの各方策効果表の➀と➁を見ると白線を太くすることによる効果は柵とポールの設置による効果の1/20以上であるため、費用も考慮した結果最も優れている方策は白線を太くすることだと分かった。

提言

本調査考察より最も優れていると分かった境界の白線を太くするという方策を我々の班からの提案とする。この方策により費用を抑えつつ自転車が自動車に対して感じる怖さと申し訳なさを軽減することができるため、自転車通行帯の利用促進につながると考えた。また、怖さと申し訳なさの軽減という面で効果が薄いと分かった標識とステッカーの設置は、各方策効果表の⑤より自動車が自転車をより意識するようになることが分かっている。今回は自転車通行帯のある道路に絞って議論したが、自転車通行帯のない道路ではこれらの方策も自転車の車道での安全走行につながるため効果的な方策になることが期待できる。

レファレンス

・国土交通省.「自転車活用推進本部」
https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/index.html
  参照日:2021年12月17日
・つくば市.「自転車のまちつくば」
https://www.city.tsukuba.lg.jp/shisei/torikumi/jitensha/index.html
  参照日:2021年12月17日
・筑波大学.「平成29年度学生生活実態調査(学群)報告書」
https://www.tsukuba.ac.jp/campuslife/support-lifesurvey/2017undergrad.pdf
  参照日:2021年12月17日
・国土交通省.「質問:自転車は、道路のどこを走ればよいのですか?」
https://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_05b_01.html
 参照日:2021年12月17日
・金子正洋, 松本幸司, 蓑島 治.「自転車事故発生状況の分析」
http://www.pwrc.or.jp/thesis_shouroku/thesis_pdf/0904-P010-013_kaneko.pdf
 参照日:2021年12月17日
・つくば市政策イノベーション部長森祐介氏講演会での質疑応答
  講演日:2021年10月18日
・道路建設株式会社.「参考価格」
  https://www.douroshisetsu.co.jp/kakaku
  参照日:2021年12月17日
・国土交通省.「防護柵の現状について」
  https://www.mlit.go.jp/road/bougosaku/pdf/i01/03_genjyo.pdf
  参照日:2021年12月17日
・日建ライナー.「白線ライン工事【区画線工事】の費用・料金・価格・単価」
https://shorishobun.com/mitumorisyo.html
  参照日:2021年12月17日