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【2020年度7班】コロナ下の交友関係の変化とその要因 ~交友満足のための有効な施策とは~

班員:小林泰輝,斎藤一真,室岡浩基,深井翼,山内賢人,北山晴喜,(担当教員:和田健太郎,TA:高橋諒)

課題

新型コロナウイルスの感染拡大により大学生はオンラインでの大学生活を余儀なくされた。大学生活で重要な点の一つである交友が難しいなど、現状に満足できない大学生の休学・退学希望が出ているという報道もあった。この状況を鑑みて文部科学省は全国の大学に対し、対面授業を5割以上実施することを要請するなどの施策を行っている。文科省、対面授業が半数未満の大学名を一方的に公表…大学から「不快」「根拠不明」と批判 (biz-journal.jp)

これらの一連の状況に対して私たち7班は「オンライン状況下での大学生の交友関係形成促進」を最終目標に掲げ、まずコロナによる大学生の交友の変化の実態とこれを規定する要因についての調査を行った。そしてその調査に基づき、学生同士の交流を生むためのニューノーマルなアイデアの提案、施策についての提言を行う。

データ

本調査では筑波大生・院生を対象としたアンケートを実施し、11/4~11/17の期間内に294件の有効な回答を得た。交友人数に関して、週当たりの平均人数を「長時間の会話」「軽い会話」「挨拶・会釈」「通話・ビデオ通話」「チャット」の5種類に分類し、それぞれにおける人数を計測した。また、交友関係の満足度と交友人数を計測する際に、学生を2019年度以前入学と2020年度入学に分け、大学生活が変化する前後の時期(昨年春学期・今年春学期・今年秋学期)に分けることで、交友関係を維持することと新たに築くことのそれぞれに大学生活の変化がどれほど影響を与えたのかを明らかにするほか、交友人数に影響を与える要因を調査することで、特にどの要素が影響を及ぼしたのかを明らかにすることを目的として実施した。

分析手法

①学年別満足度と交友人数の変化

アンケートで調査した1週間当たりの場面ごとの交友人数の平均と満足度の平均を求め、これの推移を調べる。19年度以前入学者と20年度入学者では状況が異なると考えられるため分けて推移を調べる。

②学年別満足度と交友人数間の関係

アンケートで調査した1週間当たりの場面ごとの交友人数と満足度について分析を行い、変化や傾向を調べる。19年度以前入学者と20年度入学者では状況が異なると考えられるため分けて調べる。

③性格も考慮した満足度と交友人数の分析

  のび太群 ジャイアン群
外向性 -.430 .594
協調性 .571 .267
誠実性 .444 .702
神経症傾向 .438 -.509
開放性 -.743 -.019

アンケートで集計したショートビッグファイブテストの点数をもとに、主成分分析を用いて、サンプルを第1主成分得点と第2主成分得点によって2群に分類した。左表の数値は負荷量を表し、大きいほどその傾向が高いことを示している。外向性が低く、協調性が高いことなどから第1群をのび太群、外向性が高く、神経症傾向が低いことなどから第2群をジャイアン群と名付け、それぞれの満足度と交友人数にどれほど差があり、時期に変化よってどのように変化するかをクロス集計によって分析した。

※ショートビッグファイブテストは1990年代にロンドン大学のチャモロ・プリミュージク博士が考案した10の質問によって性格を分析するテスト

主成分分析による各群の負荷量

 

④交友人数と要因の関係の分析

SNSの投稿数やサークルの加入数といった要因のうちどんな要因が1週間あたりの交友人数に影響しているのかを、昨年春、今年春、今年秋それぞれについて調べる。

結果

①学年別満足度と交友人数の変化

まず、大学に入学した時点の交友について分析するために、1年生の今年春と2年生の昨年春の交友人数の平均と満足度の平均を比較したところ、以下の通りになった。なお、満足度は最高点を6点、最低点を1点とした。

表 1 1年生と2年生の比較

  1年生今春 2年生昨春 1年生今秋
長い会話 1.6人 13.5人 7.6人
軽い会話 1.6人 19.0人 7.8人
挨拶・会釈 1.1人 19.4人 8.5人
通話 6.4人 1.3人 3.8人
チャット 4.2人 7.5人 5.5人
満足度 2.8点 4.6点 4.1点

この表から今年の新入生は2年生の昨年春と比較して交友人数が明らかに少ないことが分かる。また、満足度も2点近く差がついている。このデータの比較から今年の新入生は例年と比較して交友の人数が少なく満足度が低いということが示された。なお、2年生の昨年春と1年生の今年秋を比べると、交友人数に差はみられるものの満足度には大きな差はみられないことがわかった。

次に、2年生以上の交友の変化について分析する。

表 2 2年生以上の交友の変化

  2年生以上昨春 2年生以上今春
長い会話 12.8人 2.1人
軽い会話 17.8人 2.5人
挨拶・会釈 18.6人 3.1人
通話 1.3人 6.9人
チャット 7.7人 6.7人
満足度 4.8点 3.3点

この表から2年生以上における昨春と今春の交友関係は大きく変化していることが分かる。通話の人数は増加したものの、対面での交友(長時間の会話、軽い会話、挨拶・会釈)は大幅に減少している。満足度に関して、まず昨春の満足度が4.8点と非常に高い。そして、今春の満足度は昨春から1.5点マイナスの3.3点となっており、2年生以上も交友の満足度が減少したといえる。

つぎに場面ごとの交友の変化についてである。昨年春からの変化を捉えるために19年度以前入学者の平均交友人数の変化を表した。

場面ごとの交友人数の変化(リアル)については昨年春の交友人数を100としている。

これらの表から、オンラインに関してはコロナ下で通話・ビデオ会議での交友人数は増加したもののチャットについては変化がないことが、リアルに関しては今春はどんな場面の交友人数も減少したが、今年秋での回復は長時間の交友が速いということがわかる。

 

 

②学年別満足度と交友人数間の関係

①の表1より、満足度は最高点を6点、最低点を1点とした場合1年生の今年度春の満足度の平均は2.8、今年度秋の満足度の平均は4.1である。同じように2年生以上の満足度の平均を計算した結果昨年度春は4.8、今年度春は3.3、今年度秋は4.1であった。表にまとめると以下のようになる。

  昨年度春 今年度春 今年度秋
2年生以上 4.8 3.3 4.1
1年生 2.8 4.1

この表から1年生、2年生以上共に今年度春から秋にかけて満足度が高まっていること、しかし今年度春の1年生の満足度は昨年度春の2年生以上の満足度には及ばないことが読み取れる。大学においては昨年度春は対面の交友が自由にできたが今年度春は大幅に制限され、今年度秋は多少の対面の交友が許容されるようになった。この事実と満足度の変化を合わせて考えると、オンラインツールに比べ対面の交友が満足度に大きな影響を与えると考えられる。

次に対面の交友について詳しく分析していく。下の3つの表は、上から「長時間の会話」「短時間の会話」「挨拶・会釈」の3つの対面の交友人数について時期、学年別に積み上げ棒グラフにまとめたものである。横軸に前述の点数で表した満足度、縦軸に人数の割合を取り満足度と交友人数の関係を表した。

全体的な傾向として対面の交友人数が多いほど満足度が高い傾向が見られる。この傾向は特に「長時間の会話」のグラフにおいて明確に見て取れることから「長時間の会話」が最も満足度に影響を与えると考えられる。

③性格も考慮した満足度と交友人数の分析

 以下は、2020年度入学者と2019年度以前入学者の満足度を学期ごとに6段階で評価した際の点数の平均である。これらの表から、全ての学期・学年においてジャイアン群が上回っている傾向にあることがわかる。

2020年度 のび太群 ジャイアン群
今年春学期 2.71 2.84
今年秋学期 3.91 4.29
2019年度 のび太群 ジャイアン群
昨年春学期 4.66 4.88
今年春学期 3.13 3.44
今年秋学期 4.04 4.16

 

 左の図は、入学年度別の群ごとの交友の人数(ここでは1週間以内に長時間の会話をした人数)の推移である。ちなみに、軽い会話、挨拶・会釈、通話・ビデオ通話、チャットでも同じような傾向が見られた。今年春学期のオンライン状況下では、ジャイアン群に積極的にコンタクトをとる人が多い傾向にあり、対面授業が解禁された秋学期には、両群の差が大きく縮まっていることが読み取れる。この特徴は2020年度入学者において顕著に見られ、交友関係を維持するよりも新しく築く方が、性格による積極性の差が表れやすいためであると考えられる。また、交友人数の差が縮まったのにも関わらず、満足度の差が縮まらなかったことに関しては、性格による満足の感じ方の差、もしくは交友の密度の差などが要因として考えられる。

 

 

 

④交友人数と要因の関係の分析
以下3つの表は重回帰分析の結果である。サンプルサイズnは昨年春はn=136、今年春、今年秋についてはn=263である。有意であったものは黄色で表示している。特筆すべき結果として、全体としてInstagram投稿数との関連が見られること、宅通の影響は今年春のみにみられるということがあげられる。

昨年春(†p<0.1 *p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)

今年春(†p<0.1 *p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)

今年秋(†p<0.1 *p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)

提案

➀今後の授業形態
まず大前提として、授業は勉強をするためだけでなく交友関係を築く場所でもある。文科省は対面授業を増やすような方針を設定している理由としては、直接の対面による学生同士や学生と教職員間の人的な交流も重要な要素である、と述べている。アンケートを分析した結果、対面授業が0コマの人と1コマ以上の人では満足度に大きく差があるという結論に至った。またアンケートからのび太群とジャイアン群では秋になり交友人数の差が縮まった。これも対面授業の影響だと考えられる。しかしオンライン授業は教員生徒ともに評価が非常に高い。筑波大学新聞によると、教員、生徒どちらも、オンライン授業は良かった、と答えた割合が約5割だった。これは利便性や大学に行く必要性がないということに起因している。これらの結果から考えると、文科省の言う、対面授業を5割以上にする必要はなく、今年秋の対面授業を最小限にしたオンライン授業ベースの授業形態が適していると考えられる。

②学内SNSの提案

我々は筑波大生間、特に新入生の「対面での交友」のきっかけづくりとして筑波大学独自の学内SNSがあったら良いのではないかと考えた。学内SNSを提案することになったのは、長時間の会話が満足度を上げているということがアンケートの分析結果からわかったからである。ユーザーを筑波大生に限定して閉じた空間を生み出すことで学生は安心して利用できるし、プロフィールも詳しく設定しやすくなる。オンライン上でのそういった環境が対面での交友につながると期待することができる。学内SNSに取り入れたい機能として考えているのがタイムライン機能と検索機能である。タイムライン機能は人を集めて何かをしたいときに勉強や遊びなどの呼びかけをすることができる。検索機能では自分と気の合いそうな人を探すことができる。以上の既存のSNSにはない機能を活用して、筑波大生間での対面での交友のきっかけを作ってもらい、大学生活の満足度を上げてもらうというのがねらいである

レファレンス

1)「大学生活充実感を規定する要因の検討」大対 香奈子 「日本教育心理学総会発表論文集 第56回総会発表評論文集 p.175 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/pamjaep/56/0/56_175/_article/-char/ja 

最終閲覧日:12月16 日 

2)ダイヤモンド社 大学生「もう限界!」、授業オンライン化の大混乱で孤独・睡眠不足・心身不調に 鈴木洋子 

https://diamond.jp/articles/-/244872?display=b 

最終閲覧日:11月4日 

3)オンラインコミュニケーションは難しい?オンラインコミュニケーションの問題点と解決策 

https://go.chatwork.com/ja/column/business_chat/business-chat-014.html 

最終閲覧日:11月4日 

4)教員アンケート:筑波大学新聞 第358号より抜粋

HTTPS://WWW.TSUKUBA.AC.JP/PUBLIC/NEWSPAPER/PDF-PR/358.PDF

最終閲覧日:12月16日

5)生徒アンケート:筑波大学新聞 第357号より抜粋

HTTPS://WWW.TSUKUBA.AC.JP/PUBLIC/NEWSPAPER/PDF-PR/357.PDF

最終閲覧日:12月16日

6)産経ニュースさんはTwitterを使っています 

「対面授業が半数未満の大学名、公表へ 文科省、来月上旬

https://t.co/awjNMStlyD

最終閲覧日:12月16日

7)“対面はオンラインに勝る”というメッセージになってしまう懸念も 文科省「対面授業が5割未満なら大学名公表」の方針が波紋

https://blogos.com/article/495496/ 

最終閲覧日:12月16日

8)Mentalist DaiGo Official Blog (2019)自分の性格が最も正確にわかる10の質問<https://daigoblog.jp/shortbig5/>

最終閲覧日:12月16日

9)文部科学省 大学等における本年度後期等の授業の実施と新型コロナウイルス感染症の
感染防止対策について

https://www.mext.go.jp/content/20200916-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf

最終閲覧日:12月16日

10)関西大学教育後援会 触れずにフレンズ

https://www.kansai-u.ac.jp/pa/ashi/vol176/contents2.html

最終閲覧日:12月16日